2008年05月21日

ゴロツキザメ―価値観のぶつけ合い

gorotukizame.jpg海賊シャークテイルには、頭のガサマ親分を筆頭に、無類の鮫好き達が集まっています。彼らにかかるとどんなに獰猛な鮫でも喉をゴロつかせて甘えてきます。とはいえ危険が無い訳ではありません。事実ガサマ親分の左腕は一番可愛がっていた巨大なホウジロザメに食いちぎられてしまいました。でもそこが良いのだと彼らは言います。危険である事の心地良さに酔いしれてさえいます。

彼らは今日も沢山の鮫たちを従えて交易船を襲い金銀財宝を奪いつくします。悪事をはたらいているという気はさらさらありません。むしろ最上級の危険と恐怖を演出するエンターティナーとしての誇りを持っているのです。彼等の夢はこの世を鮫の楽園にする事。全ての人が危険という最高の快楽を味わえるようにする事なのです。

ちょっと(?)受け入れがたい価値観ですが、実際に話をするととても魅力的な人達であることは事実です。圧倒的な確信に満ちた価値観の前には成すすべも無く引き込まれていくしか無いようにさえ思えます。

話し合いというのはお互いの価値観をぶつけ合う事、そして理解しあう事です。ぶつけるべき自分自身の価値観が曖昧であれば、話し合いにはなりません。相手の価値観を理解するより前に自分自身の価値観を整理し理解する事が大切です。

ガサマ親分は、強引な男ですが話の解らない男ではありません。むしろ意見の対立を楽しんでさえいます。どんなに強烈な価値観の前でも、たじろぐ事の無い魅力的な価値観を育てていけるといいなと思います。
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2008年05月06日

ウミネコの葛藤―長いものには巻かれてしまう

umineko.jpgある朝、西表ウミネコが何時もの様に、朝ご飯となるシャコガイを捕って海から上がってくると、大きな口を開けて眠りこけている怪物の腹の中で今にも消化されかけているカメレウオが声をかけてきました。
『これこれ、そのシャコガイをワシにくれるのなら、助けられてやっても良いぞ』
あまりにも一方的で横柄な申し入れに呆気にとられたウミネコでしたが、なんとなく可笑しさが込み上げてきたので、その奇妙な申し入れを受け入れる事にしました。無事に怪物の腹の中から助け出されたカメレウオは、シャコガイをムシャムシャと美味しそうに食べながらご満悦な表情でウミネコに顔を向けました。
『なかなか旨いシャコガイじゃ。気に入った!お礼にコレをくれてやろう』
と言って、一冊の本をプレゼントしてくれました。その本のタイトルには『人にモノを頼む100の方法』と書いてありました。

それからというもの、西表ウミネコの頼み事は百発百中不思議なくらい受け入れられ、トントン拍子に願いをかなえて、いつまでも幸せに暮らしましたとさ。

長いものには巻かれてしまう。というお話。たとえそれが錯覚だとしても・・・
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2008年05月02日

浮屋(うかれや)―しぶとい夢の育て方

ukareya.jpg残波岬の燈台近くに浮かんでいるBar浮屋(うかれや)には、今夜も沢山の売れない絵描きやミュージシャン、役者達が集まって、喧々諤々自分の夢を語ります。負けず嫌いで個性的な面々が殆ど偏見ともいえる持論を叫びます。熱いです。熱苦しいです。店のマスターまで加わって、唾を撒き散らしながら絶好調にヒートアップしていきます。人の話なんか聞いてません。半ば訳がわかんなくなってます。そんな収拾のつかない議論にも関わらず、閉店の頃には何故か皆、不思議と愉快な気持ちに満たされます。意味もなく乾杯ばかりしています。浮かれ気分が止まらなくなります。自分の夢を言い切った。そんな笑顔に満たされます。Bar浮屋のいつもの光景。なんとも素敵なBarなのです。

夢は叩かれて当たり前。否定されて当たり前。しぶとく夢を語ってやるぜケッケッケってな感じです。
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2008年04月29日

夜市にて―カタチにすると壊れてしまうモノ

jinbeizame.jpgキジムナの見せてくれた不思議な世界に魅了された少年は、そこで見て感じたものを、現実の世界にカタチとして留めようと試みますが、それが想像していた以上に難しいものである事を知ります。形あるものとして捕まえようとした途端に壊れてしまうモノ達。目で見て感じる事が出来るのに表現する事の出来ないもどかしさで少年は地団太を踏みます。その様子を腹を抱えて笑いながら見ていたキジムナは、少年に大昔の天才呪術師トットロゲの話をします。トットロゲの残した呪術品の数々が少年の目指すもののヒントになるかもしれないと言うのです。少年はキジムナの言葉どおり、トットロゲの作品を求めて再び旅に出ます。目指すは夜市。呪術品を求めるなら、まさにうってつけの場所です。

中城城跡の中庭で行われる夜市は、別名『鬼市』とも呼ばれ、龍宮中から怪しい品々が集まってきます。盗品や呪術品等が闇取引きされるのですが、重苦しい雰囲気は無く、ジンベイザメの運搬船に乗って多くの人達が訪れ、まるでカーニバルのような賑やかさがあります。酒を片手にゲラゲラ笑いながら騙したり騙されたり、一癖も二癖もある連中の宴が毎夜のように繰り広げられています。

少年は、無事に呪術師トットロゲの作品に出会う事が出来るでしょうか。少年の旅はまだまだ続きそうです。

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2008年04月27日

龍宮城―言葉の力

ryuguzyou.jpg龍宮には数多くの城(グスク)が存在しますが、中でも巨大なアンモナイトに建てられた龍宮城は別格で、その全てが謎に包まれた不思議な城です。

龍宮城はその存在を鮮明にイメージできる者の前にしか姿を現しません
。その存在を感じる事の出来ない者には、城は空想やマヤカシでしかありませんが、龍宮城を鮮明に思い描き、現実のものとして捉える事の出来る者にとって、そこはまさに知恵の宝庫であり、不思議な力に満ちた多くの土産物を持ち帰ることの出来る場所です。

もしもあなたが龍宮城へ行きたいと願うなら、龍宮の使いである亀に出会う事がもっとも確実な方法です。亀は人々を城へといざなうエキスパートです。亀は龍宮城へと人を招く時、わざと遠回りをしながら龍宮城についての話を三度繰り返します。ゆったりと、そして絶妙な抑揚を付けながら城に関する事細かな物語を丁寧に織り上げていきます。亀は言葉の持つ力をよく知っています。彼は言の葉を紡ぎあげる事で、確かな質感を持ったイメージを創りあげ、背に乗せた客人が龍宮城へと入る準備を整えてくれます。

少年とキジムナーはマダム・マンゴーの店で亀と出会いました。その日一番の美味しさのジュースを飲んだ亀の喜びようは物凄く、その笑い声は店中に響き渡るほどでした。亀の笑い声でテンションの上がった二人はすぐさま亀に近づき乾杯し、意気投合した三人は、『ちょっとウチよってく?』という亀の軽い誘いのままに龍宮城へと向かったのでした。
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2008年04月25日

アダンの木陰―天才的オッチョコチョイ

adan.jpgマダム・マンゴーの店はアダンの木が豊かに生い茂る気持ちの良い海辺にあります。彼女の作るトロピカルジュースは、この世のものとは思えないほど絶品で、そのジュースを求めて、龍宮中から沢山の人達が訪れます。多くの同業者が彼女のジュースのレシピを手に入れようと躍起になり、その神秘的なまでの甘味に関する膨大な研究を重ねたのですが、誰一人として成功したものはおりませんでした。何故なら、彼女の作るジュースの美味しさの秘密は、彼女自身の性格にあったからです。マダム・マンゴーは極度の天然でありオッチョコチョイなのです。毎日のように数え切れないほど多くのポカをやらかします。そして驚いた事に、ジュース作りのレシピを間違えれば間違うほど美味しいジュースを創りだしてしまうという天才的オッチョコチョイだったのです。今日も多くの人が彼女のオッチョコチョイを期待して店に来ます。そして自分のジュースの美味しさにどれほどのオッチョコチョイが込められたかを互いに自慢しあいます。彼女は今日もニコニコと笑いながら、心を込めて一生懸命ジュースを作ります。みんなの喜んでくれる顔を見ながら、自分はなんて幸せ者なんだろうと思うのでした。

人の魅力は長所よりも短所のほうに多く含まれているような気がします。自分の短所を深く知る事は、生きる事をもっともっと楽しいものにしてくれます。それでは皆さんご一緒に叫びましょう。すごいぞ短所!偉いぞ短所!グレイトだぜ短所!最高だぞ短所!天才だぜ短所!しびれるぜ短所!ワンダフルだぜ短所!今日もガッツリ頼むぜ短所ォォォォォ!!!!!
posted by 森海魚 at 02:24| gallery | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月23日

旅の情景―ナポレオンフィッシュの人生哲学

naporeon.jpgナポレオンフィッシュは旅を愛しています。これまで多くの旅人を背に乗せ、世界中を巡り歩いたこの経験豊富な哲学者は、旅こそ自分自身と向き合う最良の方法であると考えています。

旅にでると、様々な場面で、普段の日常とは違った自分に出会う事があります。そしてそれこそが旅の醍醐味の一つであると彼は言います。

ナポレオンフィッシュによると、通常、私達が性格として認識しているものは、自分自身の感情や気質といった内的要素と、周りを取り巻く社会や他者との関わりといった外的要素という二つの要素のバランスの中にあります。旅にでる事で、その外的要素が変化すれば当然そのバランスは崩れます。変化した外的要素に対してその対応を迫られた内的要素は、無意識のうちに、さまざまな決定を下し反応しバランスをとろうとします。結果、普段の日常とは違う自分の側面を知る事となるのです。

もしも自分自身の人生をクリエイトし、より豊かなものにしていくために自分というものを深く知りたいと思うのなら、内的要素と外的要素との間で変化する表面的な性格を知る事ではなく、外的世界の変化にどう反応し何を決断するかという自分自身の無意識の傾向を理解する事が必要なのだと彼はいいます。そしてそれを知る一番の方法は、様々な状況に自分自身を置きその変化を観察する事なのです。

無愛想で哲学的なナポレオンフィッシュは、背に乗せたまだ年若い旅人のこれからの旅の人生が、より充実したものとなるようにと深く願うのでした。
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2008年04月21日

キジムナの住処にて―キジムナの話を理解する方法

kijimunanoie.jpgキジムナーはお喋りが大好きです。とにかく喋ります。一生懸命話します。自分が夢中になっている事や嬉しかった事を目を輝かせて楽しそうに話します。でもその話の約半分は意味不明です。身振り手振りをくわえたり、色んなものを見せてくれたり、とにかく懸命に何かを伝えようとするのですが、とにかくホントに意味不明な部分が多いのです。
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2008年04月17日

モーイモーイ ―不思議な縁を持った子供達

moimoi.jpgキジムナーの子供達。ホントの兄弟ではないけれど、同じ年の同じ日の同じ時間に生まれた不思議な縁を持った子供達。兄弟のように仲の良い彼等のことを、みんな五つ子と呼びます。彼らが赤ん坊の時に起こった1000年ガジュマル消失事件以来、孤児となった五人を引き取って育ててくれたのは、音楽を心から愛する陽気なオトゥとオッカァ。二人の愛情をたっぷり受けて育った五つ子達も又、謡い踊ることが、とても大好きなのです。
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2008年04月15日

雨上がりの空に―君がいればこそ

ameagari.jpg雨上がりの空を飛ぶのが一番好きだとマンタは言います。雨上がりの、ほんの束の間だけ、世界は素の表情を見せてくれるのだと言います。『毎日が雨上がりなら世界はもっと住みやすいと思わないかい?』マンタはキジムナーに問いかけます。キジムナーは黙って聞いています。『それともそんな世界は退屈でつまらないものなのだろうか?』再びマンタは尋ねます。キジムナーは、何も答えずニコニコ笑って耳を傾けています。雨上がりの日に繰り返されるいつもの会話。ひんやりとした空気に漂う澄んだ香りに包まれながら、二人はしばらく幸せな空の散歩を楽しむのでした。

聞いてくれる相手がいるからこそ出来る自問自答があります。なかなか答えが出なくて堂々巡りばかりなのだけれど、本人にとってはとても大切な時間だったりします。いつも喧嘩ばかりしているマンタとキジムナーですが、相手の話にただ黙って耳を傾ける時がある事を、お互いになんとなく理解しているようです。
posted by 森海魚 at 17:50| gallery | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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